空気のように大切なあなたへ

6/17
前へ
/17ページ
次へ
 どうせ、別れ話なんでしょう?  あの子にその指輪は贈られるんでしょう?  私が邪魔になったから、お別れを言いにきたんでしょう?  いいわよ、私だって、嘘をつかれてまで引きとめられたくなんてない。  気付いていないと思って、知らない所で知らない女に指輪を買うような人間に、捨てないでなんて泣いてすがるような安い女じゃないのよ。  別れてあげるわよ、キッパリと潔く。  でもその前に、ビンタの一発くらい入れさせなさいよ……っ!!  歯を食いしばって手を振り上げる。  その瞬間、パタタッと私の足元で音が響いた。  その音を聞きつけたのか、リョウタの顔がハッと跳ね上がる。 「アカリ? やっぱりいるのか?」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加