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先生がパソコン画面を食い入るように見つめている、画面は例の防犯カメラの映像、消える女性のシーンだ、ちゃっかり自分のパソコンに画像を残しておいたらしい。
「あ、あの、先生」
もっと詳しく話を聞こうと思ったその時、携帯が震えた、部長からの連絡であった。
「えっ容疑者を発見した」
その言葉を聞いた生蛎先生は動きを止め詳細を待ちわびている。
「今、被害届けの出されたブランド店に容疑者の女性がまた来ていると店から連絡が有ったようです」
躊躇わずに教授が言った。
「赤井君、彼女の確保に行く前に言っておきたい事がある、少しの時間良いかい」
急く心をなだめオレは頷いた。
「うむ、見てくれ、この前の防犯カメラの映像だが」
代わり映えのしない、それは彼女が、指にはめたリングに見とれながら消えて行くシーンだった。
「ちょっと見にくいが、彼女の前にあるケースに注目してくれ」
言われなければ特定しにくいが何か箱のような物が有った、そう言えば指輪やネックレスのようなアクセサリーを一時的に置いておく台のような物が常設されていた。
「良おく見ていてくれよ」
「ん!」
それだけを注視してやっと変化に気付く程だったが、確かに変わった。
「彼女が消える瞬間に、この箱も何か変わっただろ」
「はい、サイズが小さくなったような」
「うむ、半分位のサイズになったな、多分台が二つ有ってその一つが彼女と一緒に消えたのだ」
え、どういう事だ、なぜ一つだけ消えたのか?
「推測するに、台はその店で最初から置いてある物が一つ、あともう一つは彼女が持ってきた物だろう」
「え、同じ台を持ってくる?いったいなんのために」
「勿論、彼女は無意識にさ」
益々、解らない。
「先生、どういう事なのですか、詳しく教えて下さい」
「これは私の想像だが、彼女は泥棒なんかしていないよ」
これは驚いた、では何なのだろうか、窃盗では無いとしたら。
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