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彼女は任意で署に同行された。
オレは署に戻る前に、被害届けの出されたそのショップ、ブッチ銀座店に立ち寄ったのであった、生蛎先生の推測のもと。
この店は彼女のお気に入りだと、オレもそう思った。
ショップは既に、警察関係者の姿はなく通常の営業を取り戻していた。
「千代田署の者です、先の窃盗事件について、もうちょっとだけ、お訊ねしたい事がありまして、商品の在庫について、どうしても確認して頂きたいのです」
やっと終わった事情聴取を再びしつこく始めるのかと、怪訝な態度の店員を宥めるように頼み込む、これだけは、どうしても確かめなくてはならない。
「え、増えた商品?」
「はい、無いですか?記録上売れたはずなのにまだあるとか、一つ多いとか」
その言葉に店員は一瞬ハッとして口を開いた。
「あります、在庫記録に載らない不思議な余り物が、最初お客様が購入後、持ち忘れていったのかと思ったのですがそうでも無くて、ここ最近の事ですが」
それだ、オレは確信に顔をほころばせた。
「その不思議な余り物の購入者分かりませんか、同じ商品を買った人です」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
よし、良いぞ、これで彼女の無実の裏付けになる、あとはもう一つ。
「カルトン東京店か‥‥」
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