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「あー、透明になったのではないのか、赤井、お前が提唱していただろう」
「そうなのです、自分も最初は透明にでもなったのかと思っていました、ですが彼女は違っていました、彼女は透明になったのでは無く、消えたのです、つまり空間転移したのです」
中年刑事と三咲女史は、ぽかんとオレを見つめているだけだった。
ははは、まあ想定していた通りの反応だ、生蛎先生はこう言っていた。
『彼女は無意識の内に空間転移を繰り返し、ごく普通に買い物をしていただけだろう。
極めて近い、そう隣の世界、とでも言っておこうか、その転移先でちゃんとお金を払って買い物をしていたのだよ、転移の事実など本人は知るよしもなく、気付いたのはごく一部の第三者のみ、度々商品ごと転移したものだから、転移先の世界や現世では、商品が増えたり減ったりして、泥棒騒ぎや怪奇現象に思っているはずだ』
その言葉を聞いてオレは彼女の行きそうなブランドショップで裏付けを取った、増えた商品の有る事実が2件あった。
「あー、赤井、それこそ全く信憑性が無い、訳の解らん事は言うな」
怒り始めた部長を尻目に、オレは三咲女史の前に立った。
「け、刑事さん?」
「部長、ごもっともです、自分でも信じられない現象なのです、ですから、論より証拠、今から実演して見せます」
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