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難解な事件を追って、オレはとある大学の研究施設を訪ねた。
由緒ある大学なだけに歴史と趣ある校舎を一人進む。
《設立百周年記念》
という記念碑を見付けた。
「ほう」
なんて口に出してから、古臭いだけ、と歩を進めた。
本館を通り抜けて研究棟に差し掛かると、全くの別世界が広がった。
ここには、コンクリート壁には一筋のひび割れ補修痕すらなく、内装は人工石板で無駄なく覆われていて、床は合板タイルで敷き詰められていた。
なるほど、較べて初めて分かったが、趣とは落ち着くという事なのかと知った。
研究所といえど、受付もあるし、待合室もある、一見病院と見間違う程だったが、窓口に人の姿はなくインターフォンが有るだけだった。
「国立遺伝子病研究センターです」
対応に出た女性にオレは言った。
「生蛎教授と約束をしている者です」
「失礼ですが、どちら様でしょう」
「千代田署の赤井と言う者です」
「少々お待ち下さい」
オレはインターフォンの受話器を下ろし、その場で待った。
15分もするとドアの奥から白髪のメガネがひょっこり顔を出した、小柄で痩せた初老の男性だ。
「久しぶりだな、赤井君、君が警察官とはねえ」
「お久しぶりです先生、実は折り入って頼みがあります」
「ん?なんか面白い事かい?」
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