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「長い黒髪にサングラス見映えの良い衣服にアクセサリー、歳は25前後、やせ形で伸長160から170位、と言った所ですか、本当に美しい女性でした、私が最初疑問に思ったのは、この女性がいつの間にかいた、と言う事です、でもまあ、あれ?いつの間に、と思う位でしたが、少し気になってその女性を監視していました、その女性は数個のリングを代わるがわる指に着け楽しそうに目当ての品を吟味している様子でした、無防備な商品もさることながら、全くこれから罪を犯すなど微塵も感じられず、でも窃盗犯のイメージに少し似ている事から、オレは話をしてみようと声をかけたのです」
教授は黙ったまま話を聞いている、しらけた素振りは無い。
「彼女は愛想良く応えてくれて、オレは自分が刑事だと身を明かしました、そして、置き引きやら偽ブランドやら悪い奴に騙されないようにと注意して話を終えました」
教授は黙ったまま話を聞いている、妙なツッコミは無い。
「その直後でした」
「消えたのか」
「はい、自分の目の前で、その吟味していた指輪ごと」
「指輪ごと、ど、どういう風に消えた、具体的に言ってくれ」
オレは興奮気味の教授の問いに満足して頷いた。
「すうっと消えました、時間にして数秒」
教授は一点を見つめ、じっと固まったまま動かない、オレは話を続けた。
「店員の誰に聞いてもその瞬間を見ていた者は無く、オレは幻覚でも見たのかと自分で自分を疑いました」
「店内に防犯カメラは無かったのか、ビデオの記録映像は無いのか」
「有ります、高級ブランドの店ですから、店内には数台の防犯カメラが設置されており、その全ての映像を確認させてもらいました、中の一つにそのシーンが写っていました」
「消えた瞬間が写っているのか」
「それが、一秒間隔のコマ撮りのため、明確に、と言うわけにはいかなかったのですが、ぱっと消えた映像が撮れています」
「それ、見られるかな」
「はい、ここにあります」
オレはUSBメモリを差し出した。
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