いつか、貴女と同じ月を

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 もう片方の箱は、小箱とは対照的にピッチリと折り目正しく包装されていた。  冷たい折り目正しさは、しかるべき店で包装してもらったのだと一目で分かるものだった。  俺はひとまず不器用な包装がされた小箱を紙袋の中に戻すと、長方形の箱の包装紙をベリベリと勢いよく剥がす。  平べったい箱の蓋を開くと、中には紙袋と同じ、上品な濃紺色をたたえたリボンタイが行儀よく収まっていた。 「……ほう、俺に、首輪を付けますか」  なんとなく突然のプレゼントの意図が読めた俺は、口元にかすかな笑みを浮かべた。  そういえば、最近屋敷が妙に浮き足立っていると感じていたんだ。  興味がなくて今日だということを忘れていたが、今日は2月14日。  バレンタインデーだ。  ……まさか雅お嬢様らかもらえるとは思っていなかったが
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