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執事という職業柄、常に身だしなみには気をつけなくてはならないとは分かっている。
だけど、どうしてもネクタイだけは苦手だった。
……あの苦しさが、どうしても、主に繋がれた首輪のように思えてしまって。
だから俺は、普段はネクタイを緩めて、シャツのボタンも1つ2つ外してしまっている。
時と場はこれでも一応弁えているつもりなのだが、できるだけ首回りは緩やかにしておきたい。
なんとなくそんな俺の心境を察しているのか、旦那様にこのことを注意されたことはない。
雅お嬢様も、非難の視線を向けることはあれども、口に出して注意をしてきたことはなかった。
「……俺は、主から贈られた物品の中でネクタイだけは使わない主義なんですが、雅お嬢様からの贈り物なら、使ってやってもいいですよ?」
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