いつか、貴女と同じ月を

8/13
前へ
/13ページ
次へ
 何度も折り直したせいでクシャクシャになってしまった包装紙に、指に貼りついて皺が寄ってしまったのだろうセロハンテープ。  それをゆっくりとはがし、一回り小さくなった箱の蓋をそっと開く。  その中にちんまりと収まっているモノを見た瞬間、俺はプッと吹き出してしまった。 「ひっでーの」  小箱の中に収められていたのは、明らかに手作りだと分かるチョコレートだった。  トリュフを作ったのだろうが、いびつな形に固められたトリュフはチョコ菓子というよりも泥団子に近い形状になってしまっている。  有名なショップのラッピングを真似るために入れたのであろうふわふわのクッション材は無残によじれ、紙カップはものの見事に横倒し。  そのせいでトリュフにかけられたココアパウダーが箱中に散乱してしまっている。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加