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面接で初めて彼女を見たとき、綺麗な人だなと思った。
僕より随分と年上なのはすぐにわかる。
白いブラウスの襟元から見えるダイヤのネックレス、清潔感があって手入れの行き届いた爪、彼女の暮らしぶりが僕とは全然違うこともすぐにわかった。
彼女のこの暮らしを支えているのが彼女の夫だろうと思うと、心に黒いものが浸みだしてくるような感覚に襲われた。
この仕事を紹介してくれた、劇団を支援してくれている近藤さんも「オーナーは綺麗な人だけど人妻だから、変な気おこすなよ」と言って笑っていた。
その時は「そんなわけないでしょ」と僕も笑った。
芝居と暮らしていくことに精いっぱいで、恋愛なんて興味がなかった。
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