第1章

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 その中でトイレの映像の中で音が強くなってきた足元が映りその足は女子のようで、書いてある名前も見えた。 「あら、これは女子トイレのカメラだったのね。」  女教師はちょっと失敗したぐらいしか思っておらず、その様子に不良は恐怖を感じ始めていた。  そうこうしているうちに女子は個室に入り用を足し始める。その音はしっかりと聞こえてくる。 「どう?全てのことが見れるのは。まるで透明人間みたいでしょ?」  女教師は平然と言うが、不良は震え始めている。 「どこから見ているかわからないわよ透明人間は……」  女教師が不良に耳元で囁いた。不良は震えているだけだった。  不良が教室に戻ると皆が見る。  仲間が近くに寄ってくるが先ほどの映像から本音を知ってしまった不良はにらみつけて殴ろうとする。しかし、カメラが見ていると感じ、腕を収める。  仲間も様子がおかしくなったのを感じて下がっていく。  下校時間になると周りからの誘いを無視し、青ざめた顔のまま急いで家に戻った。  次の日休み、家族が不審に思ったが不良は体調が悪く見えるため、何も言えなかった。  その次の日も不良は学校を休み布団の中で震えていた。  携帯電話が鳴り、見てみると見たことがない番号が出ていた。恐る恐る出てみると知っている声が聞こえてきた。 「ハーイ、お元気かしらこれから伺うからね。出てこないと分かっているわよね?」  ハイと答えるしかなかった。  そして不良の親に部屋に入れてもらい、二人だけになった。 「どうして学校に来ないの?」 「あ、あんなとこ行けるかよ、も、もう帰ってくれよ」  布団をかぶりながら女教師に不良は言う。 「別に問題を起こさなきゃ何もおきないわよ?」 「ほんとうか……」 「ええ、要注意人物は地域と連携して監視していくけどね。このように。」  そういいながら携帯電話を操作すると一昨日急いで帰る不良の姿が映っていた。 「なんだこりゃ!学校の中だけでなく帰る途中まであるんだよ!」 「防犯のためのカメラがどんどん増えているからね。もしかしたらそこにも……」 「ひぃ!!!」  不良は布団の中に逃げ込む。 「当分はこのように監視されるけど、まあ心を入れ替えて品行方正に真面目に生活するようになれば解除されることがあるかもしれないわよ。じゃあ、また学校でね。」  そういうと女教師は部屋から出て行った。不良は布団の中で震えたままだった。
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