視線

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透明になったら楽になった。誰も私が見えていないのだから、私に刺さる視線なんてなにもないのだ。 この日から私は自由になった。 普通に学校へ行って、普通に勉強して、普通に帰ってくる。 そんな当たり前のことができるようになった。 透明人間になったらしたいことなんて、山ほどあったはずなのに、なってみると案外普通のことしかしないのだな、としみじみしてしまったりもする。 透明になったというのにいじめは続いていた。 登校すると靴がなくなっていたり、私をブスとかバカとか言う会話が聞こえたり、私がいないのにも関わらずなぜか神崎さんは新しいことをしてくるのだ。 しかし、私は透明なのでなにも怖くはなかった。神崎さんがなにをしてきても、どうせ見えていないのだから、といってかわせた。
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