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「苦しいか?」  黙ったとみ子に、光俊が心配顔で声をかけます。 「平気」  とみ子が笑って見せると、光俊は、 「なあ、死んだら、どこへ行くと思う?」 と、日本に帰ってきてからというもの、幼い子どものように何度も繰り返した話を、また問いかけました。  日本に帰ってきてからの光俊は、そればかり気にかかるようでした。  人を殺すばしょで、異国で、この年上の幼馴染が何を見てきたのか、とみ子にはわかりません。  光俊はそれを語りたがりませんでした。  でも、とみ子はとにかく、光俊の不安を除いてあげたいと思っていました。  とみ子は考えました。そして、 「死んだら、海に行きます!」    わからない、と困ったように答え続けていたとみ子が、今日は「海」と言いきったことに、光俊は驚いた顔をしました。
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