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「だいじょうぶだよ!」
いいことを思いついたとみ子は、思わず少し大きな声を出してしまいました。
「何が?」
「怖がらなくても、いいの。死んだあとにどこへ行くか分からなくても、どこへ行くのも怖くても、二人だったら、怖くないでしょう?」
とみ子はゆっくりと体を起こして、光俊の手を取りました。
「私が待っててあげるから」
「はあ」
光俊は、とみ子の意味するところを分かっていない顔をしています。
「だから、光俊が死ぬまで、私が待っててあげるから。一緒にゴクラクジョウドに行こう」
光俊は俯いて、とみ子の冷たい手を自分の手で包み、冷たい指をもてあそびながら、とみ子の話を聞いていました。
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