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「私、ずっと待ってるから。光俊が来るの。だから、怖くないよ。二人いっしょならさみしくないよ」
とみ子が慰めると、光俊は一瞬間だけ、泣き出したいような顔をして、けれどもすぐにやさしい笑顔を見せました。
「本当に?約束だぞ」
身を乗り出して言ってくる光俊に、とみ子は笑って頷きます。
その穏やかな顔は、確かにあまりに青白かったけれど、すぐに死にそうにはありませんでした。
少なくとも、光俊にはそう思えました。
「ねえ、できるだけ遅く来てね。わたし、待つのは得意だから」
しかし、そう言って笑ったとみ子は二日後、親しい者に見守られながら、十七年の生涯を閉じました。
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