第1章

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「殺し屋は腕前だけじゃないんだ。手当たり次第に殺していたら足が付き捕まりやすくなる。あくまで、ビジネス、依頼内容から冷静に状況を判断し、最も安全で確実な方法を選択する。今のお前は殺し屋ではなく殺人鬼だぞ。」 「本当に、ごめんなさい。」 「わかったらもうすぐ死体の後始末に行った教頭先生が帰って来るから、万が一のため口裏合わせをしておけ。」 「はい。」 「教頭先生にもお礼の言葉を忘れるなよ。」 「はい。わかりました。失礼します。」 まったく返事だけは一人前だ。また一、二週間もしたら元に戻るだろう。 来月はスポンサーの方々をおよびして学習発表会があるのに、そう思うと頭が痛くなってきた。 「校長先生、この際正志はふつうの学校へ転校させたらどうでしょう。」 「いや、確かに素行には問題があるがそれ以外はいたって優秀だ。まあ、辛抱強く見守ってくれないか。」 「はあ、校長先生がそうおっしゃるなら。」 「期待しているぞ。」 とは言ったものの、このままではノイローゼになりそうだ。ここは一つ卒業生で優秀な殺し屋を使って...。 私は本校の卒業者名簿を一心不乱にめくっていった。   
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