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「ねえ、しょうへいくん」
「んー?」
包丁で野菜を切っているみきちゃんの隣で、僕は今、米をといでいる。
「みきのこと、好き?」
「え、うん、好きだよ」
いきなり平然と聞いてくるから、若干動揺しながら答えると、みきちゃんはあははと笑った。
「真っ赤になってる、かわいいー」
「男に可愛いはないでしょ……」
なんだか恥ずかしくて、真下を向いてごりごり米をといでいると、みきちゃんがぼそぼそと話し始めた。
「みきね、毎日しょうへいくんに会いたいの」
「だって、しょうへいくんのこと大好きなんだもん」
「しょうへいくんが大学に行ってるときとか、バイト先とか、女の子と仲良くしてないか、不安なんだよ」
「だって、しょうへいくんは私のだもん」
「しょうへいくん、浮気しちゃ、だめだよ?」
寂しげな声にひかれるようにして顔を上げると、じっとみきちゃんがこっちを向いていた。
「浮気したら…… ね?」
背中をつうっと冷たい汗が流れた。
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