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駄目だ、思い出せない…。
そんな長い時間、考えていたわけではないんだけど、もうギブアップ。そっと、隣を見ると、まだ、考えてる…。
なんなの、この人?…何で、そこまでして、思い出したいの?
私は、隣の人が、どこの誰かより、何を思い出したいのかが、気になった。
じろじろ見るのは、失礼だなって思った私は、チラチラと、視線を送る。
うわっ、この人、高そうなスーツ着てるなぁ。
うわっ、この人、すごいイケメンじゃない。
うわっ、この人…。
見る度に、小さな発見をする。それも、なぜだか、株が上がるような点ばかりを、幾つも幾つも。
段々、息苦しくなってくる。何だか、体が、火照ってるような気がしてきた。
ちょ、ちょっと、私、何を意識してるのよ!
ただの通りすがりの男じゃない。たまたま、一緒の場所で、雨宿りしただけじゃない。
こんなのいつもの私じゃないよ…。
知らず知らず、私は、ギュっと瞼を閉じていた。
まだ、雨音は、続いていた…。
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