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雨は、まだ止まない…。
「はぁ…。」
小さな溜め息を着いたときだ。
「…あの、すいません。」
隣の彼が、また話し掛けてきた。
「…なんですか?」
「あなたのこと、やっぱり、思い出せません…ごめんなさい。」
「謝らなくてもいいですよ。お互い様なんですから。」
「いえ、俺は、気にします…。ここまで、思い出し掛けてるのに、思い出せないなんて、最近、なかったことなんで。なんだか、この辺りが、モヤモヤして気持ち悪いんです。それに…。」
「…それに?」
「思い出さないと、いけない気がします。俺も、あなたも。…あっ。すいません、また、勝手なこと言って、それに、偉そうな言い方してしまって。」
「クスクス…あなた、面白い人ね。」
私が笑ったからなのかな、彼も、笑顔になった。
以外だわ。彼、子供みたいな可愛らしい笑いかたするんだ。
「ここで、会ったのも、何かの縁だし、雨、小降りになったら…えっと…二人で、お茶しに行きませんか?」
「あら、ナンパですか?」
「…俺、そんな勇気はありませんよ。」
「てっきり私は、そうなんだと思ったんですけど。そうですか、違うんですか。」
私が、クスクス笑っているのを見て、彼は、なんだか照れながら、頭を掻いて言いました。
「本当に、ナンパじゃないですよ。…でも、そうとられても、仕方ないのかなぁ…。」
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