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地元企業の小さな会社。
形ばかり部門は異なるが、雑然とした社内で席は隣り同士だ。
そんな幼馴染が最近おかしい。
否。
むしろ、おかしいと思ってしまう自分がいちばん問題だ。
隣りの席にいるのは、ただの二十七にもなる男なのに。
「お願い……、きょ……ちゃん。も……ちょっと……」
??寝かせて……。
声にならない声が吐息のように伝わり、胸がざわつく。
色素の薄い肌、ふわふわの猫っ毛。
そして、声。
誰もいない社内で無防備に眠りを貪る男の扱いに戸惑う自分がいる。
「お前、変……」
「えぇっ? いきなり何それ、ひどい!」
俺は席を立って給湯室へ向かう。
うん、コーヒーでも飲んで落ち着こう。
「きょーちゃん、コーヒー、俺もほしいなぁ」
脳天気な声は無言の背中でシャットアウトしつつ、茶渋が染み付いたマグカップをふたつ手にする。
「きょーちゃん、俺もコーヒー!」
「うるせぇわ!」
- end -
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