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「じゃーちょっと急ぐようなので…」
木崎先生はシズさんに笑いかけて、扉をそっと閉めた。
木崎先生には慣れた従姉の家かも知れないけれど
私は初めてで緊張するんだけどな…と思ったけど、
急かしたのは私だ。
呼び鈴を鳴らすと、
元気のいい返事が返ってくる。
どんな人かな…
ぼんやりと考えていたが、
その間ずっと頭が痛かった。
夜勤で寝ていないせいだろう…と頭を少し揺すり
寝るわけにはいかない…と眠気を飛ばしたけど
頭がガンガンと痛むだけだった。
「大ちゃん…いらっしゃい…」
片足を置かれた靴に乗せて、不安定な姿勢で扉を開けてくれた女性は、
木崎先生には似ていなかった。
「上がって。そちらの方も…どうぞ、散らかっているけど…」
にこっと笑う笑顔に、引き込まれそうになる。
木崎先生の周りは素敵な人がいっぱいで良いな。
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