憧れ

315/491
2958人が本棚に入れています
本棚に追加
/542ページ
「じゃーちょっと急ぐようなので…」 木崎先生はシズさんに笑いかけて、扉をそっと閉めた。 木崎先生には慣れた従姉の家かも知れないけれど 私は初めてで緊張するんだけどな…と思ったけど、 急かしたのは私だ。 呼び鈴を鳴らすと、 元気のいい返事が返ってくる。 どんな人かな… ぼんやりと考えていたが、 その間ずっと頭が痛かった。 夜勤で寝ていないせいだろう…と頭を少し揺すり 寝るわけにはいかない…と眠気を飛ばしたけど 頭がガンガンと痛むだけだった。 「大ちゃん…いらっしゃい…」 片足を置かれた靴に乗せて、不安定な姿勢で扉を開けてくれた女性は、 木崎先生には似ていなかった。 「上がって。そちらの方も…どうぞ、散らかっているけど…」 にこっと笑う笑顔に、引き込まれそうになる。 木崎先生の周りは素敵な人がいっぱいで良いな。
/542ページ

最初のコメントを投稿しよう!