憧れ

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「お邪魔します。今日はお休み?」 廊下を歩きながら、木崎先生は従姉に話しかけている。 きっと仲が良かったんだろう。 木崎先生の話しかける雰囲気が柔らかい。 「うん。今日はお休みー。」 ニコッと木崎先生を見上げて話す様子に、 こちらがつられて笑顔になった。 きっと年上なんだろうけど、 幾つなんだろう?若く見える…。 ぼさぼさの髪の毛を一つに縛っているだけの私より、 ずっと綺麗に手入れされている髪の毛や、 艶のある肌を見て、なんだか情けなくなる。 良いな…私も、あんな風にきれいにできたらいいのに…。 恵まれている人は、きっとずっと恵まれている …私にみたいに恵まれていない人はきっと…ずっと… そんな卑屈な思いが胸いっぱいに広がって息が苦しくなった。
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