半沢範子の憎しみ

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「い、痛い! 止めてよ……。 痛いってば……」 範子は髪が抜けそうなほどに引っ張られた痛みから、甲高い声を上げて抵抗した。 「止めなさい! 何をしてるの」 たまたま通りかかった柳井という生徒指導のベテラン教師が、範子を取り囲んでいた女子生徒を一喝すると、 女子生徒たちは、範子から離れいなくなった。 〈 助かった…… 〉 範子はそう思い、助けてくれた柳井先生に顔を向けると、柳井先生は嫌な顔をして、私に話しかけることもせずにその場を立ち去った。 〈 柳井先生まで…… 〉 範子は呆然と立ち尽くし、自分が置かれている苦しい状況を理解し始めていた。
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