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最悪だ。
壁際に追いつめられた黒髪の少年は、財布を守るため胸元に抱きしめていた。
四人の男子生徒に取り囲まれ、逃げ場がない。
目線を合わせないよう下を向いている少年は、とても弱々しく見える。
「朝日ちゃん、ちょーとだけお金貸してくれないかな?」
眼鏡をかけた男子生徒が、甘ったるい声でお願いする。
しかし朝日と呼ばれた少年の返答はない。
もう一人の男子生徒が、長く延びきった朝日の前髪をわしづかみにして強引に頭を上にあげた。
ようやく視線を合わせる事が出来た男子生徒は、ニヤリッと笑う。
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