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まったく逃げようとしない朝日にしびれをきらした少女は、強引に腕を掴み立ち上がらせた。
抱きしめていた手が緩み、少年が地面に落ちた。
泥に顔面をつけたまま動かない。
泥水が血と混ざり合い、赤黒く変色した。
「何すんだよ!!」
朝日は怒鳴って睨みつけた。
だが少女もまた、同じように悲しんでいた。
泣き声をあげまいと、必死に唇を噛みしめている。
でも涙だけは我慢できず、頬を何度も伝っていた。
「朝日さんまで死ぬわけにはいかない。行きましょ。早く!」
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