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少女が腕を引っ張る。
逃げなきゃいけないと思っても、少年を置いて行く事が出来ない気持ちが阻んでなかなか足が動かない。
倒れている少年から目を離せないでいると、少女がグイッと腕を引っ張りこちらを向かせた。
恐怖と悲しみで息があがっている。
「もう死んだの!」
後ろで爆発音が鳴り響いたが、それよりもはるかに大きな声だった。
やっと、足が一歩前に出た。
「くそっ……」
ようやく屍となった少年を振り払い、二人は走ってその場から去った。
周りは火の海と化し、熱かった。
息をすると喉が焼けるように痛い。
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