半沢範子の憎しみ(2)

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つらい毎日を送る範子にとって、真子の言葉は大切な癒しだった。 もしも真子の存在がなかったならば、自分はもう今の状況に耐えられないかもしれないと、範子は思った。 昼休みになると、範子は毎日、不良グループに校舎の屋上へと呼び出された。 範子が屋上に行くと、いつものように、朱美、彩佳、朋美、正子の四人が、範子を待っていて、 うつむき、暗く沈んだ顔の範子を取り囲んだ。 「範子、アンタは周平伯父さんの仇だから、アンタが生きている間、 私はずっと、アンタをイビるよ。 もうイジメがイヤになって、死んでしまいたいと思うくらいに!」 デブの朋美は、範子にそう言って、範子が吹き飛ぶほどの蹴りを入れた。 範子は屋上のコンクリートの上に這いつくばると不良グループ四人は、ニヤニヤと笑いながら、範子を見下ろした。 「範子、お前が二本の足で立つなんて、十年早いんだよ。 お前は犬、猫以下の下等な存在なんだ。 お前がそれをちゃんと理解するまで、私たちがちゃんと教育してあげるから」 リーダー格の朱美がそう言って、コンクリートの上に這いつくばっている範子に蹴りを入れた。 範子は蹴られた痛みに顔を歪め、自分が弱い立場にいる悔しさに歯ぎしりをした。 〈 どうして私が、こんな目にあわなくてはならないの? 私は以前のように、普通の中学生には戻れないの? 〉
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