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「やめて!
ポケットの中を探らないで!」
範子は、誰も助けてくれるはずもない校舎の屋上で、大声を上げた。
朱美、彩佳、正子の三人が、仰向けになった範子の体を押さえ、朋美が範子のポケットの中身を探った。
〈 どうしよう……。
私の大切な御守りが、取られてしまう。
お願い、やめて!
誰か助けて! 〉
範子のポケットの中から、朋美が御守りを取り出し、声を上げた。
「何なの、この古い御守り。
こんなものが、アンタの大切なものなの?」
朋美のその声を聞いて、範子の血の気が引いた。
あの大切な御守りが、二度と自分の手元に戻ってこない予感がして、範子は思わず、叫んでいた。
「お願い、私の大切な御守りを返して!」
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