半沢範子の憎しみ(3)

11/39
前へ
/39ページ
次へ
つらい毎日を送っている範子の願いは、いつの間にか、自分が、苦しみを逃れることではなく、 この町の人間に自分と同じ苦しみを与えることに変わっていた。 範子はこの町が憎かった。 この学校が憎かった。 朱美、彩佳、朋美、正子が憎かった。 いつの日か、自分がこの理不尽な立場から抜け出し、あいつらを痛めつける力を手に入れたならば、 自分はあいつらに復讐をしたい。 今まで自分をないがしろにしてきたこの町に、 自分を救ってくれなかったあの学校に、 自分をイジメ続けたあの四人に、 自分が味わってきた苦しみを味あわせてやりたい。 死にたいと思うほどの絶望をあいつらに! 周りから孤立していた範子は、周りを憎むことで崩れそうな精神のバランスを保っていた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加