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「何なの、この色の剥げた古い御守りは?
こんなものが、アンタの大切なものなの?」
朋美がそう言って、範子をバカにしたように笑った。
「アンタ、いくら貧乏だからって、こんなゴミみたいなものをそんなに大切にしなくてもいいじゃない?」
朱美が朋美が手にしている古い御守りを見て、範子に言った。
「アンタが必死になって隠そうとしているから、どんなに大切なものが入っているのかと思ったら、
出てきたのは、ボロボロの御守りじゃないの。
こんなものを大切にしているなんて、所詮は、範子ね」
意地悪な彩佳が、範子を鼻で笑って、そう言った。
範子は、父からもらったあの御守りがどうなってしまうか、気が気でなかった。
範子は再び、必死になって、朋美に言った。
「お願い……。
その御守りを私に返して!」
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