2人が本棚に入れています
本棚に追加
どどどどどどどガッシャーン ばりんっ
図ったようなタイミングで、物がたくさん続けざまに落ちた音、大きな物が倒れた音、割れ物が派手に砕けた音が、屋敷中にけたたましく響き渡った。
上の階で、何かが起こったようだ。
ニンジャはその騒音に、ぶるりと大きく肩を震わせた。続けてその身を、ぷるぷると小刻みに震わす。
ごんっ
更におまけだとでもいうように、鈍い音が小さく聞こえた時、ニンジャは深く息を吐いた。緊張の糸がプッツリ切れたような、呆れ返ったような、溜め息。
そして、ニンジャがそのまま、くるりと後ろを振り返った時。
トン、突然、控えめな音を立てて、向かい側の襖が開いた。
「…………」
少女である。ピンクのパジャマの上にカーディガンを羽織った少女である。
少女はとろんとした眠たげな目を、ニンジャに向けた。
二人の目がかち合う。
ニンジャの対応は早かった。
少女をみとめた瞬間は小停止していたがすぐに持ち直し、廊下を滑るように走り出す。
しかし。
少女の反応は、もっと早かった。
その小さな手に一体いつから握っていたのか、重たげな鎖を、ニンジャの足目がけて投げつけた。
「……!」
鎖の先に取り付けられた、当たれば骨も砕けそうな大きな分銅が、うなりを上げて飛ぶ。
分銅自体はギリギリ避けたニンジャだったが、鎖が足首に絡みつき、どったーん!と、派手に顔面から転んだ。たいへん無様な姿である。
鎖を手繰り寄せながら、少女は分銅の反対側の鎖の先に付けられた鋭い鎌をかざし、倒れたニンジャにゆっくりと近付く。鎌が冷たく光り、ニンジャはその鋭利な刃に怯え両の腕で己をギュッと抱きしめ、覚悟を決めた。
――ように見えたが、懐から何やら尖った棒を取り出し、
「!」
打つ。
全く力を入れていないように見えたが、狙いは正確。まっすぐ少女の手に伸びる。
少女は驚いた顔をして、それでも難なく避けた。
しかし、ニンジャはその一瞬の隙をついて鎖から足を抜いた。
ニンジャは再び走り出そうとして、
最初のコメントを投稿しよう!