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「あ、ぁがね……さん……! は、はやく、はやく にげ……」
「人の妻を寝取ったゲスのくせに、良い人ぶるのは やめてよ……」
冷ややかな口調で浩司は言い切り、彼の頭上へと移動していく。
その動きに寛は不吉な予感を覚え、両手を痛む足から離し、頭を守るように抱える。
しかし その手は、浩司によって踏まれてしまった。
「ひっ、ぐ……!」
「いいですか、おじさん? 人の女を寝取るというのは こういうことです。こうやって怨みを買って……殺されることもあるんだっ!」
言葉を紡ぎ終えると同時に浩司は包丁を両手で持ち、それを寛の首に突き刺した。
「っ!!」
声なき悲鳴をあげる寛。
そんな彼に浩司は包丁を回し、抉るように肉へ さらに刃を深く刺していく。
グチュグチュと生々しい音が響き、同時に血も滲み出ていく。
「いやああああ!! 寛さん、寛さん!!」
絹を裂くような悲鳴を あげ、ハイハイで浩司と寛に近づいていく茜。
けれども その速度は赤ん坊よりも遅く、思うように前に進むことが出来ない。
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