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「うわ、編集長大丈夫ですかっ!?」
何をされたのかわからないが編集長がその場にうずくまってるではないか
状況が分からず慌てて長瀬さんを見るが
「あと10分後に出るから用意して」
そう言って何事も無かったかのようにしれっとした顔で笑いかけてくる
「え?あっ、はい……あっ、でも、編集長が」
チラッと編集長に視線を向ければ、よほど痛いのか、はたまた苦しいのか声も出せずに何故か下半身(ん?あそこは股間?)を押さえ込んだままワナワナと震えていた
そんな編集長を長瀬さんは冷めた目で見つめ、そして何やらフッと鼻で笑うとご機嫌な様子で私の頭をポンと撫でてから自分の席へと踵を返した
「え……あ、ちょっと長瀬さん!」
慌てて呼び止めるも
「ほらあと10分だぞ、急げ」
普段通りの優しい笑みを浮かべ、それだけ言ってサッサと行ってしまった
(もう、長瀬さんったら)
これはもう何を言っても無駄だと諦め遠ざかる背中をぼんやりと見送ってると、足もとで何やら苦しげな声がしてハッと我に返った
「……ナナセ、オレガ、フノウ二、ナッタラ、アイツヲ……」
途切れ途切れに呟く声は掠れていてよく聞き取れない
「え、何ですか?」
「……だから、オレがフノウになったらアイツを……てくれ」
「え?フノウ……?」
何を言ってるのか分からず首を傾げていると、編集長が目をウルウルさせながらか細い声を上げた
「たった今アイツに俺の逸物をムギュってされたんだよ、ムギュって
それも力いっぱい、遠慮も容赦も情けもなくムギュっとな……」
少し落ち着いてきたのか編集長がゆっくり立ち上がり被害状況を語り始めた
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