5590人が本棚に入れています
本棚に追加
「……はぁ」
編集長の身に起きた災難を聞き、最早溜め息しか出て来ない
この人達は何をやってるんだろう、というのが率直な感想だった
(全く、編集長も編集長なら長瀬さんも長瀬さんだよ、この二人似たもの同士とでも言うのかな?
でも何で長瀬さんそんな事したんだろう?編集長のアレをムギュ、だなんて……)
・・・・・・・
(触りたかったのかな?)
長瀬さんが聞いたら卒倒しそうな答えでも今の私にはそれしか浮かばす、だけども何故かそれで妙に納得
しかも男同志の戯れの仕方の一つなんだろうと逆に微笑ましくも思えてくる始末
「ふふ、本当に仲がいいんですね
ちょっと羨ましいです」
何だか温かい気持ちになってクスリと笑えば、どうしてか編集長の口がポカンと開いた
そのまま暫く見つめ合うこと数秒……
「あっ!いけない、早く用意しなきゃ」
あと10分って言われてたのを思い出し、編集長に頭を下げると私は慌てて出かける準備を始める
そんな私を編集長は呆れとも哀れみとも取れる眼差しで見つめていたが、やがて楽しげに笑うとその場で片足をトントンさせ慎重な足取りで自席へと戻って行った
ところで
「そう言えばフノウって何だったんだろう?」
ふとそんな事を思い出して一瞬準備の手が止まった、が……
「いいや今度で」
な~んてお気楽に流してまた準備の手を進めた
一方自席から全てを見つめていた長瀬さんはと言うと
「フッ、どんな時も何をしてても純恋は可愛いな」
などとシチュエーションによっては犯罪者チックな囁きを零しては、純恋へと熱い眼差しを向けていたのだった
その周りで同僚達から「見てはいけないものを見てしまった」という視線を向けられている知らずに……
最初のコメントを投稿しよう!