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そして時間は進み……
私は今長瀬さんの運転する車の助手席で、何故か不機嫌そうな顔をしている恋人の横顔をチラチラと窺っていた
(う~ん……どうしちゃったんだろう)
車に乗ってからと言うものちっとも喋らないし、それどころか一度も目が合わない、ってかこっちを見ない、ひたすら前見て運転してる……って、前見て運転するのは正しいのだけど……
だけどそれにしても変だ、だって明らかに不機嫌なんだもの
会社を出る時はそんなでもなかったのにな、などと思いながら私なりに不機嫌の理由を考えてみる
(…………)
が、サッパリ分からない
なので思い切って聞いてみることにした
「あの長瀬さん、何か怒ってますか?」
視線は前を向いたまま、なるべく普通にさりげな~く言葉をかけてみたが
「……いや」
返って来たのは素っ気ないひと言
(いやいやこれ絶対怒ってるよね?)
分かりやすいまでの低い声が彼の不機嫌さをアピールしてくれて、原因が全く分からない私としては首を捻るよりも先にドキドキと焦り始めていた
(何で?何で怒ってるの?
私何かした?いつ?どこで?)
今までも長瀬さんが不機嫌になる事はたまにあったけど……
でもその理由の大半は長瀬さんの嫉妬で、だけどそれも二人きりになればいつの間にか仲直り
まぁその都度「お仕置き」と言う名の恥ずかしい罰を受ける事になるんだけどね……
(……っ!)
って、やだ、つい先日も受けた「お仕置き」を急に思い出して一気に顔が熱くなってしまったではないか
(もうーーっ!)
慌てて頭の中の記憶を凄い勢いで追い払うと、熱くなった両頬を手で隠し誤魔化す様に顔を逸らしたのだった
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