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「えっと……何で長瀬さんもいるのでしょうか」
場所は変わってここは先生の仕事場兼自宅のあるマンション
来客用の駐車スペースに車を停めた後再びお礼を言い降りた私だったが、その時車のエンジンが切られ何故か長瀬さんも降りてきて……
「何でって、そりゃあ俺も一緒に行くからに決まってるだろう」
何言ってんだお前?……くらいな顔で言い返され咄嗟に次の句が出て来ない
そんな私を長瀬さんは少々訝しげに見ていたが、すぐに目元を緩めるとパッと私の手を引き歩き出した
(いやいや、だから何故長瀬さんも一緒なの?
確か用事のついでにここまで乗っけてきてくれたんだったよね?)
引っ張られるまま一歩前を歩く長瀬さんの背中を見つめて考える
(あ、そうか!心配だからマンションの中まで送ってくれるって事か)
そう、付き合うようになってから知ったのだが、長瀬さんって異常な程に心配症なんです
それはもう、まるで年頃の娘を持つ父親の様で、ちょっと過保護すぎるのでは?と日々思っていた程
本人に言っても「そんな事は無い、むしろもっと心配したいと思ってるくらいだ
ほら、あまりウザくして嫌われたくないからな、これでも我慢してるんだぞ、偉いだろ?」と、取り付く島もない
(ふふ、本当心配症だな、この距離で何かあるわけないのにな)
何だかちょっと長瀬さんが可愛く思えて心の中で笑みを零すと、このまま素直にマンションの中まで送られる事にした
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