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「もう…またそういう事言って……」
「ダメですよ」と口を尖らせ見上げる私を、初めは不貞腐れた様な顔で見ていた長瀬さんだったが
「……くっ、その顔ヤバいだろ」
すぐにそんな呟きと共にふにゃりと顔が緩んだ
続いてハァ…と大きめの溜め息を漏らすと、何故か両手で私の頬を挟みムニュムニュし始める
「な、なにするんれすか」
そう言って長瀬さんの胸の辺りを手で押し返すも頑丈な胸板はビクリともせず、当然ムニュムニュする手も止まってくれない
(もう、そんなにムニュムニュされたら変顔になっちゃうよ)
半ば抵抗を諦め、されるがままにしていたが、ふと自分がどんな顔をしてるか気になりだした
(そう言えばさっき「その顔ヤバいだろ」って言ってたね?)
ヤバいくらいに変な顔……?
(そ、それはちょっと頂けない)
だって一応女子だし、可愛くないのは承知でもヤバい顔は出来れば避けたいじゃないか
心の中でそんな葛藤に襲われる中、長瀬さんときたら
「ふっ、ククッ……」
案の定、長瀬さんは私の頬をいたぶりながらも、次第にニヤニヤと顔がニヤけ始めたではないか
(わー!やめてぇ~!やっぱり変な顔は嫌だよ)
だけど私の願いも虚しく、更に頬をギュウとされ否応無しにタコの様に口が飛び出してしまう
「………」
そして情けない目で「やめて」と訴える私をマジマジと見つめ長瀬さんが言った
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