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時間にしたらほんの数秒、でも私には永遠にも思える長瀬さんとの幸せな時間……
頭も身体もふわふわのまま、視線を落としボーッと見つめているのは自分の足元
確か白かったと記憶してるエントランスの床は、何故か今私の目には淡いピンクに映ってる
ううん、床だけじゃない、私達を取り巻く空気までもがピンクに色づいて見えるのは気のせいですか?
どこか夢の中の様な、でもそうじゃない様な、このなんとも言えない脱力感と言うか、気怠い雰囲気がまた良くて全身が軽くなったみたいに心地良い
「はぁ……」
思わず漏れた溜め息はひどく熱くて、身体に残る長瀬さんの熱と甘さを思い出してはまた小さく溜め息を零す
(どうしよう、身体が熱くてたまらない)
だけどそれを認めてしまえば、その先を求める以外開放される事は難しい
だから身体の奥に芽生えた小さな疼きには気づかぬ振りしてグッとお腹に力を入れたのだけど…
「こら純恋、いつまでもそんな顔してたらここで襲うぞ」
(うっ、バレてる!?)
断じて物欲しそうな顔をしていたつもりはない
いや、してたのかな?ううん、してないよ、してないけど
でもここがここではなかったら、きっと私はこの先を期待し自ら求めていただろう、と思う
(はぁ……私、いつの間にこんないやらしくなっちゃったのかな?)
恥ずかしさの中に少しのバツの悪さと残念さを含んだ目で長瀬さんを見上げると、目が合った直後その顔が切なげに歪んだ
そして長瀬さんは小さな溜め息を零すと指先でそっと私の頬に触れ…そしてまたしてもムニュっと頬を優しく摘んだ
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