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「全く、遅いから心配になって来てみれば」
ハァ、と溜め息混じりに呟かれた声は紛れもなく先生のもの
(あ、そうか
私が遅いから心配して来てくれたんだ
それは申し訳ない事を…って、そうじゃなくて!)
何が起こっているのかだいたいの事は把握出来てる、でも受け入れるのが怖い
(先生いつから居たの?どこから見られてたの?)
・・・・・・・
(うわぁぁぁ、ダメだダメだダメだ、恥ずかしすぎるよ!)
さっきまでの甘ったるいピンクムードを思い出しては、髪を掻き乱したくなる程の衝撃を食らう
『いい大人が場所も弁えず仕事中に何て破廉恥な事をしているんだ君たちは!!』
世間からはそう避難されたっておかしくない事をしていたんだよ、たった今私達は
しかもそれを見られていただなんて……
(終わった……)
上手い言い訳はもちろん、最大級の羞恥とバツの悪さに顔を上げる事さえ出来ずにいると
「ねぇ、ところでさ、いつまでそうしてるつもりなのかな?」
再び聞こえてきた声はいつも通り優しくて穏やかなのに……
だけどどうしてかな?穏やかなのにどこか胸がザワザワする、不穏なオーラを感じるのは気の所為なんかじゃない、よね?
(と、とにかく離れなきゃ!)
まずはこの体勢をどうにかしなきゃ、そう思い長瀬さんの腕から逃れようとするが
「チッ、いちいちうるさい奴だ」
まさかの二度目の舌打ち、更にプラス大暴言に慌てて長瀬さんの口を両手で塞いだ
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