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(な、なんて事を!)
「あれ~何か今、余裕のない子猫ちゃんの舌打ちが聞こえたね~」
(こ、子猫ちゃん!?
し、しかも余裕ないって……もう、先生までそんな……)
だけどそれに対し長瀬さんは口から私の手をそっと掴んで離すと、別に動揺するでもなく「ふんっ」と鼻で笑って返した
「まぁさ、それだけ俺を意識してるって事は、子猫ちゃんにとって俺は脅威の存在ってとこなのかな?光栄だね~」
(ちょ、ちょっと先生、何をそんな挑発めいた事を楽しそうな顔で言ってるんですか)
二人のやり取りをひやひやしながら見守る中、ふと長瀬さんの腕が緩んだ隙に素早く抜け出す事に成功
そのまま二人から離れようとしたが、それより先に腕を掴まれ長瀬さんの隣へと連れ戻される
目の前にはにっこりと黒い笑顔の先生が壁を背に腕を組んで立っている
その正面には全く笑う気のない長瀬さんと茹でダコの様に真っ赤な顔の私
逃げようにもいつの間にか腰に回った手にしっかり抱き寄せられ逃げれない
(あぁ、どうしてこんな事に…)
「ま、そんなに牽制しなくてもいいよ
これでも純恋ちゃんの幸せを願う者だからね
だから純恋ちゃんが笑顔でいる間は静かに見守るよ、でも…」
「それなら心配ない
純恋を幸せに出来るのは俺だけだし俺もこいつじゃないと幸せになれない
だからせいぜい死ぬまで見守ってたらいい
逆にもし純恋を困らせたり泣かせたりしたら許さない、それだけは忘れるなよ」
先生の言葉を遮りキッパリと言い切った長瀬さんに「…へぇ~」と少し意外そうに先生が呟いた
だけど直ぐにいつもの感じに戻り「そう」と返すと私を見てにっこり笑った
「じゃあ純恋ちゃん行こうか
今日はね、キミの好きなチョコレートケーキがあるんだよ、一緒に食べようね~」
そう言って手招きをしてくる
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