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(わぁ~チョコレートケーキ!!)
状況的にはまだ平和とは言えないのものの、魅力的なお誘いについつい笑顔が零れる
「はい!
あっ、じゃあ長瀬さん行ってきますね
送ってくれてありがとうございました」
そして今度こそお別れだと言わんばかりに元気よく頭を下げた私だったが…
「…え?」
これまた何故かこちらも黒い笑顔で私を見つめてるではないか
「な、なにか……」
恐る恐る尋ねる私に
「いや、随分楽しそうだなと思って見てるだけだよ」
(え、楽しそう……?
ハッ!こ、これはもしや怒ってらっしゃる…?)
「え、あ、いや、別に、そんな、楽しそうだ、なんて……」
意地汚くもチョコレートケーキに釣られた事を見透かされてるみたいで、段々と語尾が小さくなって行く
「チョコレートケーキ、純恋好きだもんな」
(見透かされてた!!)
こんな状況で何て食い意地の張った奴だ、と思われてしまったのではないかとシュンと項垂れていると
「車で待ってるから原稿回収したらすぐ戻って来いよ
チョコレートケーキは後で俺が嫌という程買ってやる、で、夜一緒に食うぞ」
そんな言葉と共に優しく頭を撫でられ顔を上げる
するとそこにはもうさっきまでの黒さは無く、いつもの私を甘やかす時の笑顔と眼差しで見つめられ胸がキュンと高鳴る
「はい…
あっ、だけど一つで充分ですよ」
そう言って私も笑顔で返すと、すぐ傍で「ハァ…」とこれみよがしの溜め息が聞こえた
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