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そしてそう思ってるのは何も編集長だけじゃない、社内の奴らはみんなそう思ってるはずだ、そうじゃないと困るんだ
その1、俺と七瀬は結婚を前提に真剣にお付き合いしている
その2、俺は七瀬以外には他に誰も考えられない、七瀬が好きで七瀬を愛している
その3、七瀬も俺が好きで二人は相思相愛
誰も二人の間には割り込めないくらい深い愛と固い絆で結ばれている……
そんな二人に見えてないとダメなんだよ
随分ベタな設定だが、これでもまだ足りないくらいなんだ
ま、これはあくまでも設定、俺達は本当の恋人同士ではない
俺が七瀬に頼んで『俺の彼女のフリ』をしてもらっているだけ
当然俺も『七瀬の彼氏のフリ』を徹底している次第だ
そもそも何でこんな事になっているのかは、それは突然俺に降り掛かった迷惑でしかない見合い話のせいだ
うちの社にはこの20年間人気売上げ共にナンバーワンの大物作家先生がいる
この人が書く全ての小説はうちの社のみの完全独占出版、その貴重性も重なってか異様な程の特別待遇ぶり
まぁ、実績を伴っているのだから文句は言えないが……
そして俺は半年前からこの先生の担当をしている
初めは俺の先輩が担当していたが体調を崩し長期休暇を取るため俺にお役が回ってきたのだ
そして担当になってしばらくした頃、ある日突然社長直々に呼び出され
「長瀬君、キミ結婚する気はないか?」
と、眠気も覚めるようなぶっ飛び話をされた
何でも俺の知らないうちに先生の孫とやらにロックオンされていたというのだ
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