記憶にない恋は修羅場に好かれた!?

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 自分は病室にいた。  何が起きたのかも不明。  自分の名前も不明。  不明とは言い過ぎか。  認識があいまいと言ったところか。  せいぜい分かるのはナースがここで自分のことについて述べてくれたことの情報だけだ。  仮定な情報だと認識している。  自分の記憶があいまいだから何とも言えない。  そう、私は世で言う記憶喪失になっていたのだ。  それはそうとしてこの病室でいったい何が起きてるのだ?  周りにたくさん自分と同じ生き物が集まっている。  そしてこの生物たちは同じことを言う。 「私はあなたの彼女です」と。  同じ生物だからナースさんが言ってたように”こ”で数えた方がいいのだろう。  そういえば、あなたとか私とか彼女って何だろうか?  分かったぞ。この生物たちは私なんだ。それで自分はあなただ。  でも私には覚えている語法がある。 「なぜここに五個も私がいるのですか?」と自分は言う。  自分はある程度の服装などの特徴も覚えている。 「はぁ?頭が壊れたんですか?」と前のポニーテールの私が言う。 「愚問!!」とくのいち姿の私が言う。 「あらま、頭を打っておかしくなったのかしら?」と眼鏡の私が答える。 「……」と赤いマフラーで口を隠しこちらを見る私。 「彼女たちが戸惑うのも無理はないですね。おそらく個ではなく、人と言いたかったのでしょう?そして私ではなくあなた」と黒いコートの私が言う。  つまり私ではなく、この生物たちはあなたなのか?そして黒いコートのあなたが言うには彼女はこの四人か?なおさら意味不明だ。 「自己紹介をみんなしてあげればよろしいかと?」と黒いコートのあなたが言う。 「じゃあ、私から笹倉姫。あなたの幼馴染。あなたのこ……」とポニーテールの彼女が言う。 「はい、次!!」と黒いあなたが指揮する。 「私は釘塚桃。これ、コスプレイ衣装。あなたとはコスプレショーで好まれた」とくのいちの彼女が言う。 「はい、次!!」とまたあなたが言う。 「私は雪橋鏡花。先生であり、君に恋に落ちた乙女よ」と眼鏡の彼女が言う。 「はい、乙女なんていう先生はあなたぐらい。はい、次!!」とあなたが。 「あっ……その……私は……昨日、図書館で知り合って……その……名前は春宮ココ……」と赤いマフラーの彼女が言う。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加