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自分は病室にいた。
何が起きたのかも不明。
自分の名前も不明。
不明とは言い過ぎか。
認識があいまいと言ったところか。
せいぜい分かるのはナースがここで自分のことについて述べてくれたことの情報だけだ。
仮定な情報だと認識している。
自分の記憶があいまいだから何とも言えない。
そう、私は世で言う記憶喪失になっていたのだ。
それはそうとしてこの病室でいったい何が起きてるのだ?
周りにたくさん自分と同じ生き物が集まっている。
そしてこの生物たちは同じことを言う。
「私はあなたの彼女です」と。
同じ生物だからナースさんが言ってたように”こ”で数えた方がいいのだろう。
そういえば、あなたとか私とか彼女って何だろうか?
分かったぞ。この生物たちは私なんだ。それで自分はあなただ。
でも私には覚えている語法がある。
「なぜここに五個も私がいるのですか?」と自分は言う。
自分はある程度の服装などの特徴も覚えている。
「はぁ?頭が壊れたんですか?」と前のポニーテールの私が言う。
「愚問!!」とくのいち姿の私が言う。
「あらま、頭を打っておかしくなったのかしら?」と眼鏡の私が答える。
「……」と赤いマフラーで口を隠しこちらを見る私。
「彼女たちが戸惑うのも無理はないですね。おそらく個ではなく、人と言いたかったのでしょう?そして私ではなくあなた」と黒いコートの私が言う。
つまり私ではなく、この生物たちはあなたなのか?そして黒いコートのあなたが言うには彼女はこの四人か?なおさら意味不明だ。
「自己紹介をみんなしてあげればよろしいかと?」と黒いコートのあなたが言う。
「じゃあ、私から笹倉姫。あなたの幼馴染。あなたのこ……」とポニーテールの彼女が言う。
「はい、次!!」と黒いあなたが指揮する。
「私は釘塚桃。これ、コスプレイ衣装。あなたとはコスプレショーで好まれた」とくのいちの彼女が言う。
「はい、次!!」とまたあなたが言う。
「私は雪橋鏡花。先生であり、君に恋に落ちた乙女よ」と眼鏡の彼女が言う。
「はい、乙女なんていう先生はあなたぐらい。はい、次!!」とあなたが。
「あっ……その……私は……昨日、図書館で知り合って……その……名前は春宮ココ……」と赤いマフラーの彼女が言う。
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