記憶にない恋は修羅場に好かれた!?

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 私がトイレに出ると二人に会った。彼女たちにさっきのことを聞くと笹倉さんが「鏡だよ」と答えてくれた。  私たちが歩きだそうとしたら二人の同じくらいの年齢の男が歩いてきてそれぞれこう叫ぶ。 「春宮?」 「笹倉?」  二人の名前だった。  二人は一瞬戸惑った様子だったが、笹倉さんは「ごめんね、あの人が私の彼氏だったみたい」と言い、春宮さんは静かにお辞儀をして二人ともその人たちの元に向かう。  いわゆる人違いという奴か。  私は一人で病室に向かう。  病室からやたらと激しい音が。  扉を開けると白い枕がぶつかってきた。  その衝撃に私の記憶が全て戻ってきた。  そしてさらなる衝撃の事実が分かってしまった。  私はそのままベットに戻る。  最悪だ。 「ごめんなさい。このくのいちのようなブスのような女の子が……」と雪橋先生が言う。 「はぁ?あんたもブスでしょ?乙女なんてきもいっしょ?」と釘塚さん。 「釘塚さん、雪橋先生、どちらも見たくないほど嫌いです。ごめんなさい」と私は言った。 「その言葉は……あさはかなり!!」と釘塚さんは泣いて病室を出て行った。 「乙女心を壊すなんてサイテーよ!!」と雪橋先生も病室を出て行った。  二人を呼びとめる男の声が聞こえてきた。  やっぱりか。 「刑事さん、あなたは最初から分かっていたんですね」と私は聞く。 「あぁ、君が自転車で車との衝突。記憶喪失。さらには先ほどの他の病室にいる一部記憶が消えた彼女たちに囲まれる。私は被害者であるあなたが記憶を戻すのを待つ役割だった。あなたから事故の犯人を聴くためにね。それに私は結婚してるからね」と三河刑事は指輪を見せびらかす。 「なんで彼女たちに言わなかったんですか?」 「それが何度言っても聞かなかったのよ。でも災難だったわね。まさか彼女のいない君にこんな修羅場になるとは。まぁ、さっきの二人の行いは良い準備運動になったわよ」  そう、彼女が言う通り災難だった。  振り返って思う。  彼女がいないのに彼女と名乗る見知らぬ人たちに囲まれることに最悪だ。  記憶喪失で今までのことが分からなくて最悪だ。  だが一番最悪なのは彼女がいないことに知らされた、今の気持ちである。  その後、私は三河刑事と事故について話し合った。
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