第2章 私達のスレ違いと本音

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「よくいるじゃん。上は成績優秀で出来る子。親の言うことも素直に受け入れられる良い子。下は反抗的で勉強もスポーツもダメな子で親の期待にすら応えられない出来損ないって。玲奈はいい子、私はダメな子。そうなってもおかしくない」 「安奈、それは違うよ。私、今はあんたとこうやってごく普通に話が出来てるけど、本当は私の方がダメな子で、あんたが良い子なんだから。私にはあんたよりも大きな傷跡があるの。お母さんから話聞いて知ってるよね?私がもしあんたと同じように生まれてきたらあんたは一生私のお世話とパパとママのことで板挟みになって益々死にたくなってたかもしれないんだよ。」 「それはお母さんから聞いたよ!でもね、玲奈、私、生きてて良かったなんて生まれてから一度も思った事ない!出来ない、バカだって責められて男子にはからかわれて私なんか生まれてきて良かったのかってチビの時からいつもいつもいつも思ってきた。そんな私の気持ち分かる?ちゃんと愛されて大切に育てられているけど、人格否定されて生まれてきてごめんなさいってずっと思った。玲奈に仮に障がいがあったとしても隣に」 「分かるよ!私だって、私だってあんたより手術の傷跡が大きいからこんな自分が生まれてきたら安奈もパパもママもきっと大変だって・・・私の方が生まれなくて良かったって思ってるよ!でも、叱られてる安奈を空から見て何もしてあげられない自分に腹が立った。あんたが口答えしたりぶうたれて文句言ってるの見てイライラさせられる事もあるけど、もうやめてよ!言い過ぎだよ!このままじゃ安奈の心が壊れちゃうよって何度も訴えてきた。でも私の声は届かない。私の方があんたよりも「障がい」が大きかったかもしれないんだよ?!本当に私が生まれてくる事があんたの望みだった?一人っ子でいれば叱られたり喧嘩したとしても、一人娘だから大切に可愛がられるし、一人だけが優先される。私はパパとママと一緒にいる期間さえ短すぎた。もっと一緒にいたかったし赤ちゃんの頃、抱いてすらもらえなかった。あんたはパパとママに望まれて生まれて抱き締められてる癖に。いつだって抱き締めて名前を呼んでもらえるじゃん!」 「私が生まれてきたことは「幸せ」なんだね。どんなに嫌な事が当たり前にあっても・・・」 「そうよ!私はね安奈、その事をあんたに伝える為に会いに来たんだ!ずっと待ってた。伝えたかった!」
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