クラスメイトは魔王

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 現在、給食の時間である。  クラス班ごとに机をあわせて五、六人で島をつくって食べるコミュニケーション教育の一環として推奨されている。ちなみに班分けは席の近いもの同士で強制なので、魔王とは別々だ。魔王は隣の島でちまちまと食べている。相変わらず食の細い奴だ。  軽くむせて口から垂れた牛乳を手の甲で拭った俺は、ロールパンをぱくつくウッチーに先ほどの不穏な発言を問い質した。 「……なんだよホモって」 「むぐむぐ、ほーいうふわは」 「早く飲み込め。何言ってるかわからん。ほらさっさとごっくんしろ」  口から飛び出ているパンの端っこをぐいぐい中に突っ込むと、目を白黒させながらもごもごウッチーは呻く。 「ひでぇよカッキー、死ぬかと思った」  ようやくパンを飲み込んだウッチーに涙目で睨まれたがそんなの知るか。こっちは給食どころじゃないのだ。とてつもなく嫌な予感がする。あ、ちなみにカッキーっていうのは俺のあだ名だ。そう呼ぶのはウッチーだけだけど。翔でカッキー。うんダサい。 「死にたくなければ即座にすぐさま速やかに説明しろ」 「目がマジでこえーよカッキー…」 「ホモってなんだ」 「え? まさかそこから?」 「ホモくらい知っている。男が男を好きとか、そーゆーやつだろ?」  男色家は前世にもいた。俺は違ったが、仲間の中にもいたから別に偏見はない。  偏見はないが、――それが自分の身に降りかかってくるとなると別である。 「おまえと魔王がデキてるって噂があんだよ」 「ほー、どこの誰が誰とデキテルッテ?」 「だから怖ぇえって…! マジになるなよ。俺が言いふらしてるわけじゃねぇしっ」 「もしお前が噂の発信源なら地面に埋めて木に逆さづりして太平洋に沈める」 「それ、どれか一個だけでも普通に死ねるから…!」
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