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「その広告にも、これと同じ文字が書かれているよ。『力を欲する者よ。我が学園に集(つど)え』とね」
「繰り返さなくてもわかったっつーの。当てこすりか」
字が読めない俺に対する。
ちょっと卑屈な気分になって兄をねめつけると、兄はやれやれとでも言いたげに肩を竦めた。
「だから(文字を)教えてあげると云ったのに。……人の忠告を素直に聞き入れないからだよ。君の怠惰と狭量が招いたことだ」
……盛大な嫌味になって返ってきた。ろくろく文句も言えやしねぇ。クソ兄貴め。正論すぎてぐうの音も出ないところがさらにムカつく。
「うるせーよ」
「反抗期の子供ですか」
生憎だが、兄に対しては年がら年中反抗期だ。
劣勢を覆(くつがえ)すべく、俺は軽く咳払いして話をまとめた。
「……つまり、学園から発信されたメッセージに釣られてアッチの記憶を持っているやつらがここに集まって来ている、ってことでいいんだよな」
不出来な弟だって、ちゃんといろいろ考えることもできるのだ。
『力』というのが何を指すのかは少しわかりづらいが、この学園の特殊なカリキュラムなら様々な能力が磨かれるだろうし、望む分野への足掛かりも得やすい。ただ、学園の前世持ちのやつらをエサで呼び寄せる目的は一向に見えてこないが…。
(元魔族の連中も、あのメッセージにつられた口なのか…?)
魔族の識字率がどの程度か俺は知らないが、そういった可能性も考えられる。
前世の世界で、文字は単一だった。
魔族も人も、同一言語を用いていた。
もっとも、魔族は古語と呼ばれる少し古い言い回しをすることが多かったが…。
おそらく寿命の差が関係しているのだろう。多くの魔族は人間よりも長寿だ。
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