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紅葉狩り
バックの中に非日常的なものが入っていたので、心臓がヒヤリとした。
こんなもの警察に届けることなんて出来ないし。
「カツレツ、どうかしたのか?」
中禅寺の声がしてドキリとする。
「いっ、いや。それより、これからどうする?」
今は5時限目だ。次は英語の講義だ。
「次は俺、ヒラの授業だからさぁ。お二人さん、仲良くしてなよ」
平嶋は脳科学の講師だ。
ひがみっぽく中禅寺が言って、立ち上がる。
「じゃあ、研究室で会おう」
俺たちは欲求に我慢出来ず、エレベーターの中でキスをした。?ボタンを押さないのがコツだ。
「あぁ!麗子の歯に青のりがついてる~」
「ヤダー、マジで?」
「ジョークだよ。カラオケにあるじゃん、そんな歌」
エレベーターで3階に移動する。俺は未来から来たのでは?最近、そんな気がしてならない。
「それにしても、東日本大震災はすごかったね?」
俺が言うと、麗子はキョトンとしている。
「はぁ?阪神大震災じゃなくて?」
やっぱり、おかしい。俺はどこにいるんだ?
「岩手や宮城であったじゃん」
「神戸でしょ?カツレツ、分裂しちゃったの?」
ウォォォォォッ(゜ロ゜;
ヤッパ、俺っておかしいよな!?バッグの中に拳銃が入ってるなんて、俺は清浄器じゃない、正常じゃないよな!?
「麗子さん、大丈夫ですか?」
ヘルパーの声で私は正気になった。娘は、「検査のため」って言っているが私は認知症だ。
「この若造、私を馬鹿にしてるのかい?」
歌舞伎の女形みたいな顔をしている。名前は確か、真柄だったかな。
「とんでもございませ~ん」
真壁が私の肩を叩く。ナレナレしいったらありゃしない。
「もう、早く出してくれよ!私は囚人じゃないよ」「囚人と同じようなものだろ」
誰かがそう言った。幻聴ではない。一体誰だ?分からないが、この老○ホ○○は不気味だ。
どのヘルパーも皆、笑っている。その表情には感情がなかった。
「ハハハハ」「マキさん、ウケル~」「死ねよ~」 バシュッ!斜め前に座る、大出真希の首がゴロリと落ちた。ブシュュュュッ!血の雨がテーブルに降り注ぐ。
鎌を持ったケアマネージャーの○原が、雄叫びを上げた。
「ウォォォォォッ!紅葉狩りをハジメルゾォォォ!」 ブシュュュュッ!バシュッ!目の前が暗くなった。
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