2人が本棚に入れています
本棚に追加
闇の告白
目を覚ますと闇があった。俺は大学時代の夢を見ていた。【闇の告白】が頭の中で反芻している。
キーを叩くカチャカチャという音が絶えずしている。太った女が、爬虫類の様な目で俺を見た。
「目が覚めたようね?」
「麗子はどこだ!?」
「れ、麗子?」
同窓会の帰りに麗子と災難に見舞われた。ジャージ姿のテロリストたちに拉致されたのだ。
「おまえ、惚けるなよ!?」
「何か誤解をしているようだけど、私はあんたを助けたんだ。感謝くらいしてくれても…」
「はぁ!?」
「おまえを襲ったのは薊会のザコどもさ」
薊会は社会福祉法人で、高齢者介護や障害者介護を手掛けている。女はかつて、薊会の上層部にいた。
山崎の父親は薊会で理事をしていたが、ある理由で殺された。姉である順子は、山崎によって始末された。保身のための犯行だ。
「どうして俺が狙われなくちゃいけないんだ?あんた、一体誰だ?」
「警視庁の向井と言うものですが、何か?」
おぎやはぎかよ!ユニークな豚だ。
頭の中でパズルが組合わさる。奈緒!
あの女は薊会のスパイだったんだ。
記憶がさらに鮮明になる。今まで一緒にいたのは麗子ではない、奈緒だ。
「ところで葛城さん、薊の花言葉を知っていますか?」
豚と蛇の混血児が唐突に言った。
「知らねぇよ!奈緒はどこだ!?」
闇の中で女の瞳が淀む。
「さぁねぇ、薊の花言葉は復讐ですよ」
黒い渦が迫ってきた。微かに硝煙の匂いがした。
最初のコメントを投稿しよう!