時空を越えて

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時空を越えて

 アタマガ、ワレ、ソウダ…そっ、躁病!?アァアァアァアァ!ここはどこだ!?見知らぬビルがニョキニョキ聳え立つ。俺は零戦のコックピットから未来都市を眺めていた。   パプアニューギニアの戦いで仲間を何人も亡くした。朝霧病院の屋上に零戦を停めた。  中庭に若い頃の俺と、奈緒の姿があった。奈緒は野戦病院で従軍看護婦として働いていた。   血まみれの天幕を思い出すと、今でも涙がこみあげる。  そうか、ここが天国だったのか。芥川龍之介の【蜘蛛の糸】のような世界を想像していたのだが、人間は亡くなると未来へやってくるのか。   そのとき、銃声が響いた。  西棟の自動ドアが開き、戦闘兵が3人現れた。 バラララララララ!年嵩の兵士がUZIサブマシンガンを乱射する。通行人が犠牲になる。  「もう介護なんてこりごりだ」  「ふざけんな、バカ野郎!」   どうやら彼らはヘルパーらしい。仕事がキツい上にリターンが少ないという噂だ。   俺は聖銃を取り出した。透明のライフル銃、あの世に堕ちたもののみが使える武器だ。   レミントンライフルに加工をほどこしたものだ。スコープを覗く。   十字に若い兵士が入る。トリガーを絞った。ズダーン!頭がスイカのように割れ、アスファルトにどす黒い血が迸る。  「クソッ!どこだ!?」     狼狽しながら年嵩の兵士がUZIを乱射する。   噴水の小便小僧が粉々に吹き飛ぶ。  「奈緒、逃げるぞ!」    若い俺に手を引かれ、奈緒が東棟に逃げ込む。  トリガーを絞る。年嵩の兵士を倒した。   1人残された女の兵士だが、銃弾を全て回避して宙に舞う。鴉のような翼をはためかせ逃げ去った。
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